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FINAL FANTASY 8 「Liberi Fatali」ファンのためのラテン語歌詞の解説
Tiberius-Felixさんによる、ラテン語解説です!(2001年7月改訂版(笑))
8のオープニングの音楽『Liberi Fatali』は、ラテン語で歌われています。
このすばらしい曲には数多くのファンがいる様ですが、訳だけでなく、原語の方も理解したいが、
Eyes On Meの様に英語ならば何とかなるにしても、ラテン語は分からない、
と言う方が多いと思います。
そこで、ラテン語をまったく知らない方でも、原語詞の方をそのまま理解できる様に、
単語を解説します。(私はLiberi Fatariのためにラテン語を勉強しました。)
なお、ラテン語とは、古代ローマ帝国で話されていた言葉で、
今ではヴァチカン市国(ローマ法王の治める国)の第2公用語です。
ですので、読み方はローマ帝国時代の『古典発音』と、
現代のヴァチカン式の『教会発音』の2種類ありますが、
Liberi Fataliでは両者の折衷的な発音で歌われていますので、読み方はそれに準じて説明します。
また、ラテン語は語形変化が非常に多いので、より詳しく知りたいという方の為にかっこ付きで一応原形と、
歌詞に出てくる変化形がどういう形かを書いておきました。変化形については、
意味を捉えられるように下の方に簡単に説明しておきました。
ですが、意味を知るにはかっこ内の文法に関することは無視してもかまいません。

以下、1行ごとに解説していきます。

Excitate vos e somno,liberi mei

(読み方)エクシターテ ヴォス エ ソムノ、リーベリ メイー
(単語)
・Excitate 『〜を起こしなさい、君達』
  動詞 excito『〜を起こす』二人称複数に対する命令法現在
・vos 『あなた達を』
  代名詞 vos『あなた達』対格
・e somno 『眠りから』
  前置詞 e『〜から』+男性名詞 somnus『眠り』単数形奪格
・liberi 『子供達よ』
  男性名詞 liberi『子供達』複数形呼格
・mei 『私の〜よ』
  形容詞 meus『私の』男性複数主格
(直訳) 君達を眠りから起こしなさい、私の子供達よ

Cunae non sunt

(読み方)クーネー ノーン スント
(単語)
・ Cunae 『ゆりかご』
  女性名詞 cuna複数主格
・non
   否定の副詞(英語で言うnot)
・sunt 『がある、いる』
  動詞 sum (英語で言うbe動詞)三人称複数現在形
(直訳) ゆりかごはない

Excitate vos e somno, liberi fatali

(読み方)エクシタ―テ ヴォス エ ソムノ、リーベリ ファータリ
(単語)
・fatali 『運命が定めた』
  形容詞 fatalisの男性複数呼格fatalesを
  詞の調子を整えるために語尾を変えた形?)※1
(直訳) 君達を眠りから起こしなさい、運命が定めた子供達よ

Somnus non eat

(読み方)ソムヌス ノーン エアト
(単語)
・somnus 『眠り』
  男性名詞 somnus 単数主格
・eat 『行くと思う』
  動詞 eo 『行く』接続法三人称単数現在
(直訳) 眠りは行ってしまっていないと思う

Surgite

(読み方)スルギーテ
(単語)
・Surgite 『立ちあがリなさい、君達』
  動詞 surgo 2人称複数に対する命令法現在
(直訳) 君達、立ちあがりなさい

Invenite hortum veritatis

(読み方)インヴェニーテ ホルトゥム ヴェーリターティス
(単語)
・nvenite  『見つけなさい、君達』
  動詞 invenio 『見つける』 二人称複数に対する命令法現在
・hortum  『庭を』
  男性名詞 hortus 『庭』複数対格
・veritatis  『真実の』
  女性名詞 veritas 『真実』単数属格
(直訳) 真実の庭を見つけなさい、君達

Ardente veritate

(読み方)アールデーンテ ヴェーリターテ
(単語)
・ ardente 『燃えている(ような)〜で』
  動詞ardeo(『燃える』)の現在分詞 ardens 単数奪格
・veritate 『真実で』
  veritasの単数奪格
(直訳) 燃えるような真実で

Urite mala mundi

(読み方)ウーリ−テ マラ ムンディー
(単語)
・urite 『焼き払いなさい』
  動詞 uro 『焼き払う』2人称複数に対する命令法現在
・mala 『悪いものを』
  形容詞 malus 『悪い』中性複数対格名詞用法
・mundi 『この世の』
  男性名詞 mundus 『世界』『この世』単数属格
(直訳) この世の悪いものを焼き払いなさい、君達

Ardente veritate

(直訳) 燃えるような真実で

Incendite tenebras mundi

(読み方)インケンディーテ テネブラース ムンディー
(単語)
・incendite 『照らしなさい、君達』
  動詞 incendo 『明るくする、照らす』2人称複数に対する命令法現在
・tenebras 『暗闇を』
  女性名詞 tenebrae 『暗闇』複数対格
(直訳) この世の暗闇を照らしなさい、君達』

Valete liberi

(読み方)ヴァレーテ リーベリ
(単語)
・ valete 『元気でね、君達』から転じて『さようなら』
  動詞 valeo 『元気にしている』2人称複数に対する命令法現在
(直訳) 元気でね(さようなら)、子供達

Diebus fatalibus

(読み方)ディエーブス ファータリーブス
(単語)
・diebus   『日々に』
女性名詞 dies 『日』複数奪格
・fatalibus  『運命が定めた〜に』
fatalisの女性複数奪格
(直訳) 運命の日々に

(※1)山下教授によると、『本来はLiberi Fatalesが正しいのですが、
何かの手違いでFataliになっています』とのことです。(山下教授ののHPの掲示板より)

この直訳をつなげて、より日本語らしくすると、
CDのブックレットに載っている対訳が出来あがります。

なお、( )内の文法用語を簡単に説明しておきます。

1、主格・属格・対格・奪格・呼格

ラテン語の名詞は、使われ方によって格変化をします。格は6種類あります。
主格は主語として使われるときの形です。(〜は、〜が)
属格は英語で言う所有格です。(〜の)
対格は、直接目的語として使う時の形です。(〜を)
奪格は、いろいろな意味がありますが、
『〜によって』『〜から』『〜の時に』などの意味がここで使われています。
呼格は、呼びかける時の形です。(おお、〜よ)
(他に間接目的語として使う時の与格というものもありますが、この中には出てきません。)
形容詞も、説明する名詞の形に合わせて各変化します。

2、男性、中性、女性

ラテン語の名詞には、この3つの性があり、形容詞も、
名詞の性に合わせて語形変化します。

3、命令

ラテン語の命令形は、単数に対するものと複数に対するものが違う形になります。
また、現在形と未来形があります。

4、名詞用法

形容詞は、『〜なもの』というように、名詞として使う場合があります。

5、現在分詞

動詞から作られる名詞で、『〜していること』という意味です。
名刺にかけて『〜している…』という使い方もされます。

6、接続法

主観・願望・疑念・予想などのニュアンスを付け加える時の形です。
『行く』なら、『行くのではないか』『行く気がする』『行きます様に』などの意味になります。
Tiberius-Felixさん、ありがとうございました♪
ラテン語は奥が深いのですね〜。
詳しい解説、本当にありがとうございます!
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Special Thanks to : Tiberius-Felixさん




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