記事・トーク
週刊ファミ通 1997年10/17号より
『FF7』サウンドの生みの親 植松氏大いに語る!
-PROFILE-
スクウェア 植松伸夫
CM音楽製作などを経て、1986年スクウェア入社。
手掛けたゲームは20作以上。FFシリーズ全作の音楽を担当。 
 
−『FF7』の新しいゲームミュージックCD、 『FF7/リュニオントラックス』が発売になりましたが、収録曲は植松さんがセレクトしたのですか?

植松さん:いや、ちがいます。以前発売した『FF7オリジナル・サウンドトラック』 に入っていたアンケートハガキの返事をもとに選びました。

−じゃあ、CDを聴いた人が選んだんだということですね。

植松さん:そうです。それに個人的に好きな曲を2,3曲入れています。

−自分の自信作と、聞いてくれた人たちの評価がちがうなんていうことはあったのですか?

植松さん:今回のCDの曲に関して言えば、『ルーファウス歓迎式典』は最後まで入れたくなかったですね。自分で言うのもなんですが、まあたいした曲じゃないんですよ(笑)でも、ゲーム中みんな何時間もあそこにいて印象が残ったんでしょう。アンケート結果が高く、入れざるをえなかったんですよ。僕はミツバチの館の曲がすごくすきなんだけど、20位にも入ってなくてちょっとショックでしたね。

−『リュニオン・トラックス』にはオーケストラバージョンが3曲ありますよね。選曲理由はなんですか。

植松さん:3つともね、僕自身が本当に好きな曲なんですよ。

−自信作だと。

植松さん:そうです。今回はオーケストラバージョンの制作方法もかえています。いままではテープと譜面を渡してお願いしますって感じでしたが、今回は専門家とタッグを組んで密接に連絡を取りながら仕上げました。自分のイメージの最現度という点では、今回がいちばんです。是非聴いてください。

−『FF7インターナショナル』には新しいムービーが追加されていますよね。こちらの音はどうなっているのでしょうか?

植松さん:そこは効果音を入れているんです。いままでとは表現の方法がちがう音を。つぎの作品に向け、新しい方法を考え始めてますから。

−それは具体的に言うと…

植松さん:う〜ん、企業秘密です(笑)そんなに大げさなものじゃないんですけど。たとえばドカ〜ンとゆう爆発音でも、鳴っているのはその音だけじゃなく、周りの環境の音もあるじゃないですか。その音を細かく表現するってことですよ。わかりやすく言うとね。そんなに単純なものじゃないですけど。

−『FF7』は発売から8ヵ月経ってます。時間が経ったいまだから言える部分などありますか?ここはこうしたかったとか・・・・。

植松さん:もっと音楽を鳴らさなくてもすんだような気がするんです。作っている段階でも意識していたんですが、実際プレーしてみたら、ここは音楽鳴らさないほうが
いいなってゆうところがありました。


−そうゆう部分が次回作の音楽に活かされてくるのですか。

植松さん:音楽だけがどうのこうのいうわけじゃないですが、『FF7』の世界って誰もやっていなかったことじゃないですか。あれだけCG入れてムービーに入れて、長いストーリーにして。作品がおもしろい、おもしろくないはべつにして。

−絵にしても何にしても…。

植松さん:そう。だからこの先どこへ行くかは私たちもわからないんです。誰も教えてくれないし、自分らで闇のなかを手探りでやっていくしかないんです。『FF7』を作った以上、それを超えるものを作らなきゃならないわけで。苦しいですけど、だれもやってないぶんやりがいがありますよね。だからね、『FF7』のなかにはエッセンスがいっぱい詰まってると思うんですよ。でも、装いをどうすればいいのかわからなかった。だから、ランク的にはたいした作品じゃなかったなといまになって思います。なかに入ってる部分はおいしいんだけど、商品として成り立つかどうかは…。ただ1回やってみて、いろいろ得るものが多かった。つぎはいいものが作れるんじゃないかと思うんですよ。

−音楽も、何もかもふくめてってことですよね。

植松さん:そうです。ダイヤモンドの原石みたいな作品だと思うんですよ。まだまだ問題も苦労も多いけど、これから磨いていくんで、長い目で見てほしいですね。
---1997/10/17 週刊ファミ通より抜粋
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