記事・トーク
週刊ファミ通 1997年2/28号より
「超人気ソフト『ファイナルファンタジー7』の開発者達が語る開発秘話。」
-PROFILE-
スクウェア 植松伸夫
『ファイナルファンタジー』シリーズ全作の音楽を担当。
最近はロックよりも、ジャズ好きとのこと。
 
『植松伸夫独占インタビュー』自分が受けた影響や感動を新しい世代の人たちに伝えてたい
『FF7』のサウンドはどう進化したのだろう


−『FF7』はハードがプレイステーションに変わって、ソフトもCD−ROMになりました。それに伴って『FF7』のサウンドはどのように変化したのですか?

植松さん:プレイステーションになったとゆうことで、これまでのスーパーファミコンのときのように、ハードの内蔵音源で鳴らすのではなく、スタジオ録音したサウンドが鳴るんじゃないかと期待していたユーザーさんも多いと思います。たしかに他社では、スタジオ録音したサウンドを鳴らしているゲームもありますが、『FF7』は今回も内蔵音源で全部やってます。

−サウンドのシステムを変えなかったわけを教えてください。

植松さん:サウンドに関していえば、プレイステーション本体の性能で十分と思ったからです。高音と低音の伸びもスーパーファミコンよりありますし、音数が8音だったのが、プレイステーションでは24音使えますしね。

−すべて内蔵音源のみでやっているのですか?

植松さん:ええ。効果音はスタジオで録音したものを流していますが、音楽に関してはオ−プニングからエンディングまですべて内蔵音源です。そのほうが、単純に音楽を読み込む時間がなくなりますからね。ゲームをプレーしていて、データを読み込んでるときはストレスがたまりますよ。ただ、単に音質がよくなるとゆうより、ユーザーがストレスを感じないとゆうことを優先したかったんです。

−今回の『FF7』の音楽に関して、ほかに何か特別なこだわりはありましたか?

植松さん:『FF』シリーズは1作目から『FF5』までは、北国とお城と青い空とゆう北欧っぽい雰囲気でした。でも『FF6』あたりからそれが抜けつつあって、今回は未来都市とゆうか、そういった新しいがイメージが冒頭から出てきました。だから、今回からは音のイメージも変えた方がいいのではないかと考えたんです。

−神羅カンパニーのテーマとゆうか、インダストリアルノイズ風の音楽ってのは、今までになかったような・・・・

植松さん:そうですね。僕は単純にいろんな音楽が好きなんです。だから、今回はこれまでの『FF』では出せなかった自分の部分をいろいろ出したとは思います。

−どういった方法で作曲されているんですか?

植松さん:基本的にキーボードとギターを使って、ゲームのシナリオを読みながら作曲しています。でも、今回は曲数が多くて時間がなかったんであんまり悩まなかったですね。なにしろ、100曲以上ありましたから。作曲して、打ち込んでみてダメだったら、作り直す。その繰り返しって感じで。

−お蔵入りになった曲なんかもあるんですか?

植松さん:それもありますよ。譜面作って、シーケンサーで鳴らして作りますよね。でも、プレイステーション上で同じ音がするとは限らないじゃないですか。音質も違いますしね。そういった部分で、使えなかった曲もけっこうあります。

−今回の音楽のなかで、植松さん自身が、この曲は印象に残っているとゆう曲がありましたら、いつか教えてください。

植松さん:そうですねぇ、コスモキャニオンは北瀬を始めとして、スタッフに受けが良かったですね。

−今後はどういったゲーム音楽を作っていく予定ですか?

植松さん:つぎは『FF4』のムービー部分の音楽を作る予定です。あと、どんな作品の曲を作るときも共通してるんですが、少なくとも数百万本売れるタイトルの音楽を手がけている以上は、プレーする若い世代に、僕が若いころ年上の年代から受けた影響なり感動なりを、伝えていくことができたらいいと思ってます。
---1997/02/28 週刊ファミ通より抜粋
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