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  • 03. Vジャンプ緊急増刊 「ファイナルファンタジー7の世界を徹底ガイド」
記事・トーク
Vジャンプ緊急増刊
「ファイナルファンタジー7の世界を徹底ガイド」のインタビューより
「ゲームなんだけど、別のところに終着点がある新しいモノ
  先例のない道だけに実験になるけど、ウケてほしい。」


10本の指でバーンとピアノをひいて音を出した時は、
「同時発音数が10」ということになります。
スーパーファミコンでは、それが8だったので、ピアノと同じ音は出せなかった。
でもPSでは同時発音数が24あって、8つは効果音で、残り16パートを使えるんですよ。
音圧もでかくなるし、作曲の自由度が増しました。
いろんなタイプの楽器を同時に鳴らせることで表現力も豊かになりましたね。

今回、フィールドを歩くときの曲はこれまでのRPGになかった感じで作ってるんですよ。
今までみたいにアップテンポとか、
「よし、冒険の旅に出るんだ!」
という勇ましい感じはあえて抑えて、メロディアスに盛り上がっていって
不安な感じになったり、ひとつの曲の中でも、
いろんな表情をつけたりしてます。

これまでのRPGとは、プレイヤーの感触が違うかもしれない。
それは実験なんですけど、僕としてはこの試みがユーザーにウケてほしいな
という気持ちはある。(笑)

CD-ROMなんだから、部分だけでもスタジオ録音した音を鳴らせば
いいのにという人もいますが、僕の意見は違うんで、内臓音源のみです。
部分的にゴージャスにやるより、全体でバランスのとれた音質にしたいし、
シナリオ、視覚的なもの、音曲的なもの、すべてが
一体となっている感じをめざしてますから。
それぞれが出るところ、退くところは当然考えて、曲作りします。
絵に説得力がある場面では、ここで音をガーッとやったら暑苦しい、と退く。
そのかわり、絵が退いているところは「こっちもらいますよ」と
音が全面に出て、メリハリをつける。

実は、FFをずっとやってきて、5、6のあたりから
これは勿論ゲームなんだけど、何かもうひとつ別のところに終着点があるような、
そんなモノ作りが始まっているんじゃないか、と思い始めたんですよね。
ですから音楽も、1から4あたりはゲーム音楽的な、
短い音楽を繰り返すような作り方をしていたんですけど、
5あたりからいくぶん映画音楽寄りの作りを意識しはじめたんです。

ただ、映画見て感動してあんな風にしたいなんて思っているうちは、
いつまでも映画をこえられないじゃないですか。
FFがゲームとは別のものに昔つつある、と感じはしても、
それが何かは、まだわからない。
近い将来、「映画ともゲームとも違う」確固たるものができれば、
そのとき初めて新しいゲーム音楽が生まれるかもしれない。

現状では正直言って音楽的にも視覚的にも、映画を目指す段階、
過渡期なのかもしれない。
そういう思いもあって、今回、音楽のつけかたには悩んで、もがきました。(笑)

幸せな悩みですけどね。
自分たちの作ったものが波に乗って、やりたいことやれて。ただ一生懸命作って、
それでも飽き足らなくて、この先にはもっと何かあるんじゃないか、って
貪欲なクリエイターが何人かいるから、いつまでも先を考えて悩むんでしょうね。
---1997/??/?? Vジャンプ増刊より抜粋。
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